お知らせ: セキュアシステム研究部門は、2015年4月1日に改組・統合され、情報技術研究部門になりました。
以下のページ内容は、原則として2015年3月31日現在の内容となります。

第4回暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ(CRISMATH 2012)

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4th workshop on interaction between CRyptography, Information Security and MATHematics (CRISMATH 2012)

日程:2012年12月26日(水) 10:30〜17:00CRISMATH_logo_w120_h120.jpg
会場:筑波大学東京キャンパス文京校舎1階 120講義室交通アクセス(外部サイト)
(東京メトロ丸ノ内線茗荷谷(みょうがだに)駅下車「出口1」徒歩2分程度)
費用:無料
参加お申し込み:お名前、ご所属、ご連絡先(e-mailアドレス等)をご記載の上、件名を「暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ」として、k.nuida@aist.go.jp(担当:縫田)宛にお送りください。当日会場でのお申し込みも承りますが、満席の際には事前申し込みされた方を優先させていただきます。

本ワークショップの開催趣旨

 近年、暗号をはじめとする情報セキュリティ分野においては従来よりも専門的な数学の知見に基づく様々な研究が進められており、一方数学分野においては周辺分野との研究連携を推進する機運が高まっております。本ワークショップでは、これら二つの分野の研究者・学生の方々が研究的交流を行う場を提供し、両分野にわたる研究連携を推進することを目的として、両分野に関連するいくつかの研究トピックの紹介を行います。

プログラム

10:00開場
10:30開会挨拶、注意事項
10:40 〜 11:40只木 孝太郎(中央大学研究開発機構)
アルゴリズム的ランダムネスとランダムオラクルモデル
(昼食、自由討論)
13:30 〜 14:30長沼 健(日立製作所)
LLLアルゴリズムを用いた暗号解析について
(休憩)
15:00 〜 16:00林 卓也(九州大学大学院数理学府)
GF(3^97)ペアリング暗号の解読
16:00 〜 自由討論

アブストラクト

只木 孝太郎「アルゴリズム的ランダムネスとランダムオラクルモデル」
現代の暗号理論において、ランダムオラクルモデルは、暗号方式の安全性を議論する“仮想的な枠組み”として広く用いられている。本講演では、アルゴリズム的ランダムネスの概念と方法をランダムオラクルモデルに適用し、ランダムオラクルの具現化の問題について考察する。特に、ランダムオラクルが計算可能な関数で安全に具現化できることを示す。
長沼 健「LLLアルゴリズムを用いた暗号解析について」
近年、LLLアルゴリズム、BKZアルゴリズムなどの格子簡約アルゴリズムは、格子暗号方式の解析をはじめ,整数計画法, 数の幾何学, 計算代数学などの多くの分野に応用されている。しかし、これらアルゴリズムの理論的な振る舞いに関しては、分かっていない部分も多く、例えば、格子簡約アルゴリズムの理論値と実験結果には大きなギャップがあり、複数の研究者が実験結果は理論値より良いことを報告している。この事は、格子暗号の安全性パラメータを決定する事を困難にし、幾つかの格子暗号が解かれてしまう原因となっている。よって、解かれにくい格子暗号方式を構成するためには、格子簡約アルゴリズムの理論的な解析が必要不可欠である。本講演では、非専門家向けに、代表的な格子簡約アルゴリズムであるLLLアルゴリズムを詳しく解説し、LLLアルゴリズムが最短ベクトルを出力するための必要十分条件を理論的な側面から分析する(※多くの格子暗号では最短ベクトルを秘密鍵としている)。これは既にLattice Crypto Day 2012 Japanで述べた結果である。
林 卓也「GF(3^97)ペアリング暗号の解読」
2012年6月に、GF(3^97)ペアリング暗号の解読成功について報道発表が行われた。この解読はペアリング暗号の安全性の根拠のひとつである離散対数問題の計算によって行われたもので、「このパラメータを利用したペアリング暗号の完全解読」を意味する。本講演では、離散対数問題の計算アルゴリズムに焦点を当て、ρ法、指数計算法、そして上記の解読の際に用いられた関数体篩法を紹介し、解読の際に用いられたアルゴリズムの改良手法や解読結果について述べる。

第4回暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ 主催

産業技術総合研究所 セキュアシステム研究部門 次世代セキュリティ研究グループ

第4回暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ 共催(五十音順)

信州数理科学研究センター

山口大学 理学部ハイライト研究支援事業

暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ 実行委員会(五十音順)

阿部 拓郎(京都大学)
伊豆 哲也(富士通研究所)
鍛冶 静雄(山口大学)
鈴木 幸太郎(NTTセキュアプラットフォーム研究所)
仲田 研登(岡山大学)
縫田 光司(産業技術総合研究所)
沼田 泰英(信州大学)
前野 俊昭(名城大学)