お知らせ: セキュアシステム研究部門は、2015年4月1日に改組・統合され、情報技術研究部門になりました。
以下のページ内容は、原則として2015年3月31日現在の内容となります。

第5回暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ(CRISMATH 2013)

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5th workshop on interaction between CRyptography, Information Security and MATHematics (CRISMATH 2013)

日程:2013年12月26日(木) 10:00〜16:30CRISMATH_logo_w120_h120.jpg
会場:筑波大学東京キャンパス文京校舎1階 134講義室交通アクセス(外部サイト)
(東京メトロ丸ノ内線茗荷谷(みょうがだに)駅下車「出口1」徒歩2分程度)
費用:無料
参加お申し込み:お名前、ご所属、ご連絡先(e-mailアドレス等)をご記載の上、件名を「暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ」として、k.nuida@aist.go.jp(担当:縫田)宛にお送りください。当日会場でのお申し込みも承りますが、満席の際には事前申し込みされた方を優先させていただきます。

本ワークショップの開催趣旨

 近年、暗号をはじめとする情報セキュリティ分野においては従来よりも専門的な数学の知見に基づく様々な研究が進められており、一方数学分野においては周辺分野との研究連携を推進する機運が高まっております。本ワークショップでは、これら二つの分野の研究者・学生の方々が研究的交流を行う場を提供し、両分野にわたる研究連携を推進することを目的として、両分野に関連するいくつかの研究トピックの紹介を行います。

プログラム(暫定版)

10:00開場
10:25開会挨拶、注意事項
10:30 〜 11:30河内 亮周(東京工業大学 大学院情報理工学研究科)
NP vs. P 予想と回路計算量
(昼食、自由討論)
12:50 〜 13:50秋山 浩一郎((株)東芝 研究開発センター)
不定方程式の求解困難性に基づく公開鍵暗号 〜代数曲面暗号への誘い〜
(休憩)
14:20 〜 15:20柏原 賢二(東京大学 大学院総合文化研究科)
格子の最短ベクトル問題の新しいアルゴリズム
(休憩)
15:50 〜 16:30縫田 光司(産業技術総合研究所 セキュアシステム研究部門)
非可換群を用いた完全凖同型暗号の構成
16:30 〜 自由討論

アブストラクト

河内 亮周「NP vs. P 予想と回路計算量」
ミレニアム懸賞問題の一つである NP vs. P 予想は計算機科学全般において非常に重要な未解決問題である.この未解決問題に迫るアプローチはこれまで計算量理論において様々な方向性から検討されているが,本講演では王道的アプローチである回路計算量,特にNPより高い計算量クラスにおける回路計算量の下界証明について,基本的な事項から始めて最近の進展まで解説を行いたい.
秋山 浩一郎「不定方程式の求解困難性に基づく公開鍵暗号 〜代数曲面暗号への誘い〜」
現代の公開鍵暗号は素因数分解問題と離散対数問題が計算困難であることが安全性の根拠となっている。しかし、これらの問題は量子計算機が完成すれば、効率的に解けることが知られており、量子計算機が出来てもなお安全性が保証できる次世代公開鍵暗号が研究されている。本講演では次世代公開鍵暗号の中で鍵の長さを短くできるという特徴を持つ代数曲面暗号について、数学的な背景も含めて紹介する。
柏原 賢二「格子の最短ベクトル問題の新しいアルゴリズム」
N次元の線形空間に線形独立なN個の整数ベクトルが与えられたときに、その整数結合全体が格子である。格子の最短ベクトル問題(Shortest Vector Problem, SVP)とは、格子が与えられたときに、原点以外でもっとも原点に近い点を求めるという問題である。その短いベクトルを求めるために、簡約された基底行列を求めるという方法が一般的である。基底簡約アルゴリズムとしては、BKZアルゴリズムの改良版がもっとも高速であると思われてきたが、われわれのグループ(柏原賢二、獨協大学深瀬道晴氏)は、SchnorrのRSRアルゴリズムの手法を大幅に改良して、より高速なアルゴリズムを開発した。SVP challenge(http://www.latticechallenge.org/svp-challenge/)というサイトで公開されている最短ベクトル問題に対して、130次元の問題を解くことに成功した。
縫田 光司「非可換群を用いた完全凖同型暗号の構成」
完全準同型暗号は、暗号化したままで平文に対する任意の演算を可能とする暗号である。本発表では、既存の完全準同型暗号の構成法と全く異なる簡明かつ新たな構成法として、特殊な非可換群を用いた完全準同型暗号の構成法の枠組みを提示する。さらに、その枠組みに則った具体的な構成の候補を提示するとともに、具体的構成やその安全性解析と関連する数学的問題の提示を行う。

第5回暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ 主催

産業技術総合研究所 セキュアシステム研究部門 次世代セキュリティ研究グループ

第5回暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ 共催

信州数理科学研究センター

暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ 実行委員会(五十音順)

阿部 拓郎(京都大学)
鍛冶 静雄(山口大学)
栗原 大武(北九州工業高等専門学校)
仲田 研登(岡山大学)
縫田 光司(産業技術総合研究所)
沼田 泰英(信州大学)
前野 俊昭(名城大学)